記念すべき第1回入学式
塩山高等学校は、日川高等学校商業科の分離独立と、当時塩山中学校を教場としていた山梨高等学校定時制(普通科)塩山分校の移管併設を受けて設立された。昭和31年4月15日(日)9時、塩山北小学校旧校舎を改築した旧二号館と約8百坪の前庭に万国旗がはためき、前庭周辺の桜の木に満開の花が咲く中で記念すべき第1回入学式が挙行された。
入学式次第
一 開式の辞 曽根晃 教務課長
一 君が代 指揮 簗田美治 教諭
一 入学者点呼 池田宏 補導課長
一 入学許可宣言及訓示 原田虎雄 校長
一 入学者代表宣誓 古屋芳子
一 職員紹介 原田 校長
一 父兄代表挨拶 今沢三千男
一 万歳三唱 原田 校長
一 閉式の辞 池田 補導課長
式後PTA部会が開かれ委員理事を選出して12時頃終了。
厳粛な開校式
来賓父兄参会者約2百名、初夏を思わせる暑さの中で午後1時からおこなわれた。
開校式次第
一 開式の辞 曽根 教務課長
一 式辞 原田 校長
一 県教育委員会代表挨拶 山口教育委員長
一 県教育委員会告示 田中教育長
一 祝辞
天野知事
荻原県議
国会議員代表 古屋代議士
高校長代表 古屋 甲府工業高校長
長田 日川高校長(塩山高開校準備校長)
市町村長代表 古屋山梨市長
市町村議会議長代表 岩波 塩山市議長
一 挨拶 成澤塩山市長
一 万歳三唱 天野知事
一 閉式の辞 池田補導課長
式後、塩山市教育委員会主催の祝賀会がおこなわれた。この折、警察音楽隊を先頭に市内消防団員が市中行進を終えて来校。君が代行進曲などが演奏される。成澤塩山市長もハッピ姿で先頭の消防車に乗って市内を一周されてきた。
本校入学生は、一学年PTA役員に引率されて日の丸の旗を手に市中行進に出発。市内小学校高学年の児童(塩山南・北小児童)が、日の丸の小旗を振りながら来校。引率の先生の音頭で「万歳、万歳」の歓声が沸き上がる。先頭を引率された女性の先生が汗ばみながら指揮棒を振られたお顔が今も有難いと尊く思い出される。本校職員はこれに対し、整列して心から頭を下げて答礼した。
祝宴の中を挨拶して回れば市会議員、管下の中学校校長はじめ各界の方から「おめでとう、おめでとう」の声がかかる。花火が校庭東側で時々景気よく鳴り響く。感激して天を仰げば富士の霊峰もひときわくっきりとそびえて見えた。
~「塩山商業高校同窓会会報創立10周年号」を参考に編集~
長蛇のような提灯行列
入学式、開校式、および祝賀の宴が無事終了し、同日午後6時から広友館別館において成澤塩山市長の招待で、本校職員の慰労懇談会が開かれた。原田校長、三沢教頭以下の職員が心を一つにして大いに頑張りましょうと当日の感激を話題に祝杯を重ねた。宴半ばで塩山中学校の提灯行列が、本校に来る時刻だというので全員盃を伏せて駈足(かけあし)で帰校。午後7時をわずかに過ぎたあたりというのに、おぼろ月夜ならぬ真の暗闇、学校に着いて、旧二号館の電灯を全て点灯させて間もなく、赤白まだらの提灯が波のごとく左右にゆれながら何百人ものどよめき声とともに学校に押し寄せて来た。旧二号館の前庭は赤白の提灯の海のように見えた。
「おめでとう、おめでとう」と塩山中学校の赤松校長先生が行列の先頭に立って来校された。中学校の生徒諸君の「万歳、万歳」のどよめきの中から同先生の声が一段と高く大きく聞こえた。赤松先生は私たちの手を取らんばかりに「高等学校の先生方しっかりやってくださいよ。立派な高等学校にしてくださいよ。」と大声で叫ばれた。私たちは中学校の先生方、生徒諸君のご厚意に涙の湧き出るのを覚えながら「ありがとう。頑張ります。」と頭を下げて答礼した。やがて提灯行列も潮の引く様に去っていき、夜の静けさが校舎を包んでいった。
「塩山商業高校PTA会報(昭和40年10月発行)」を参考に編集